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文化史が語るED・インポテンツ

文化史が語るED・インポテンツ

EDにまつわる逸話

勃起は、性的興奮によって血液が陰茎海綿体に流れ込むことで起きます。
またEDは、その機能的障害によって引き起こされる症状です。

今でこそ医学的説明ができ、それによる人々の理解や対策も広がってきていますが、昔は今では考えられない迷信が存在していました。

子供の成長率が悪く当たり前のように大人になれなかった昔において、性行為ができず子孫が残せないことは深刻な問題のひとつでした。

歴史を紐解くと、古代エジプト時代にはEDは邪悪な呪いによるものと信じられており、日本でも古くは鬼や妖怪の仕業といわれた時代もあります。

近年でも、メンソール煙草の吸いすぎ・ポリオワクチンの使用・育毛剤の使用・自転車の乗りすぎなどがEDの原因になるといった都市伝説も多く存在しています。

目次

  1. 勃起しない言い訳
  2. 性的不能者裁判
  3. ED治療が確立された時代
  4. 関連ページ

勃起しない言い訳

EDに関する歴史の中で特に過激な逸話が残されているのが、中世のヨーロッパです。

中世時代のヨーロッパにおいては、EDのみならず性に対して数々の制約があり、現在とはかけ離れた常識が存在していました。
キリスト教が絶大な影響力を持っていた時代であり、その宗教的背景の中で行き過ぎた信仰や考えが蔓延し多くの逸話を生んでいます。

中世では、男であること・男である意味を強く求められていました。
女性と性行為ができるか・妊娠させられるか・女性を性的に満足させられるかなど、これらが性においての“男らしさ”とされていました。

キリスト教下では、EDなどの性的不能者は精神異常者や同性愛者、異教徒信者などと同様に社会不適格者のレッテルを貼られ、偏見の目で見られた人は少なくありません。

当然、結婚などは許されず仕事や社会的地位すらも失いかねないほど罪深いものと考えられていました。

国王など高い地位の者や歴史的に有名な人物の中にも、EDであった者が多くいたとされています。
そのため、彼らはEDを必死に隠し勃起しない原因に根拠のない迷信や言い訳を多く生み出し、その結果信じられない治療法も広まっていきました。

中世のヨーロッパの数ある逸話の中で、特に有名なものを紹介していきましょう。

悪魔の仕業

中世ヨーロッパにおいてEDやインポテンツの原因として最も多くいわれていたのが、悪魔の仕業・魔女の仕業・呪いによるものでした。

当時は悪魔の存在が信じられていて、夢魔(むま)とよばれる悪魔がいたとされ、インキュバスと呼ばれる夢の中で女性を襲い性行為する男性型悪魔と、サキュバスと呼ばれる夢の中で男性を襲い精液を奪う女性型悪魔が悪戯をしていたとされていました。

古いタロットカードには悪魔が男性の性機能を奪うような描写がしてあるものまで存在しており、EDやインポテンツを災いとして捉えていた時期があったことを示しています。

魔女においても多くの逸話が残されており、「魔女に与える鉄槌」という1486年のハインリヒ・クラーマーによって書かれた書物には “魔女は男性のペニスを盗み、鳥の巣に入れるか箱にしまい、多数の目撃者もいる”といった記述があり、多くの人々がそれを信じていました。

男性を性的不能にする魔術や儀式が、男性に性的虐待を受け裏切られた女性たちの間で実際におこなわれていたという文献も残っています。

悪魔祓いや魔女狩りが治療や解決策という大義名分のもとにおこなわれ、大勢の罪のない女性が犠牲になっていきました。

インチキ医師の診断

18世紀以降のヨーロッパにおいて、EDやインポテンツはマスターベーション(オナニー)によって引き起こされると称える医師や学者が多くおり、実際に19世紀半ばにはそのような診断をおこなったインチキ医師まであらわれています。

事の初めはスイス人医師のサミュエル・オーギュスト・ティソが1764年に出版した「オナニスム」にあるとされており、この書籍においてティソは医学的観点からマスターベーションの有害性を訴えています。

続けて1803年にドイツ人哲学者イマヌエル・カントは書籍「教育学」においてマスターベーションを道徳的に批判しています。
これはキリスト教下の思想も相まって広まっていった考えで、反マスターベーション思想は20世紀半ばまで続いたとされています。

しかしこの考えは全面的に間違っているわけではなく、近年あくまでも過度な頻度のマスターベーションに関してはEDや不感症の原因になるという研究結果がでました。

膣内射精障害と呼ばれる性機能障害で、通常の握力に比べて弱い膣内の圧力より強い握力でマスターベーションをおこなっている場合、膣刺激では射精まで至らず中折れしてしまうといった症状になります。

このEDは初体験が遅い方に多いとされており、現代では対象者は少なくありません。

この症状は勃起不全とはまた違ったメカニズム原因があり、深刻なケースでは改善に時間がかかります。
強力な効果を持つバイアグラなどを服用してごまかしても、ED治療薬とはそもそも陰茎への血流を良くして勃起を促す薬ですので根本療法にはならないため注意が必要です。

不思議な言い伝え

悪魔や魔女の仕業以外にも、ED・インポテンツの原因や回避方法にさまざまな言い伝えや都市伝説が存在していました。

男の子を墓の上に乗せるとEDになる、EDは感染する、回避するためには若い種馬の口から水を飲む、雄鶏の性器をベッドの下に置く、家の壁にイヌの血を塗るといった都市伝説が中世ヨーロッパで広まっていたそうです。

また、野菜のレタスは性的不能になる食べ物といわれていた時代もありました。

ギリシャ神話のアドーニスと呼ばれる美青年が、この説の由来です。
彼は猛獣に果敢に挑み美と愛欲の女神アプロディーテに愛される英雄として描かれていますが、最期は狩ろうとした猪に殺されてしまいます。

猪に化けてアドーニスを殺したのは、アドーニスに激怒したアプロディーテの恋人の軍神アレースでした。
そして、アドーニスの死体はレタスの中に葬られました。

アドーニスが愛欲の女神アプロディーテに愛されたこと、また母親が催淫効果のあるミルラと呼ばれる植物に変身しその中から生まれたことなどから、アドーニスの存在は性欲を、その死は性欲の死・性的不能を表現しているとされレタスは性的不能をもたらす食べ物とされたと考えられています。

性的不能者裁判

中世ヨーロッパ時代、社会的に非難されていた性的不能者またはその疑いがある者は、勃起するのか・性行為ができるのかを実証する性的不能者裁判にかけられていました。

性器の検査だけではなく裁判官の前で実際に性行為をおこなってみせるといった内容のもので、実証できなかった場合は婚約無効にさえなりました。

当時のキリスト教下の結婚は「肉欲の罪を抑えるためにおこなう最小限の罪」とされており、結婚の解消は神への冒涜とされ離婚は不可能でした。

結婚をなかったことにする婚約無効は、事実上の離婚できる唯一の手段です。
そのため、権力者を貶める陰謀や策略の手段として性的不能裁判を利用する者まであらわれました。

ルネサンス期に絶世の美女として有名だったルクレツィア・ボルジアは、権力者であったジョアンニ・スフォルツァと結婚します。

しかしルクレツィアの父アレクサンデル6世は、政治的・社会的同盟を目的として娘をさらに位の高い権力者と結婚させるために、ジョアンニを性的不能者と糾弾し婚約無効にさせました。

このような事例も少なくなかったことと、男性には恐怖でしかなく平等性に欠けるなどの理由でこの制度は19世紀には姿を消しています。

ED治療が確立された時代

20世紀に入り医学が発達しはじめ、勃起やEDのメカニズムも徐々に明らかになってきました。
外科手術や滋養強壮剤などの投与がおこなわれるようになり、EDの扱われ方もそれまでの異常なものではなくなってきました。

しかし効果的な治療法・改善法の発見には至らず、長年にわたり人類の課題とされていました。

そのED治療に大きな変革を与えたのが、1998年のED治療薬バイアグラの登場です。
バイアグラとはもともと狭心症の薬剤でしたが、ふとしたキッカケで勃起不全改善効果があるとわかった「夢の薬」です。

高い効果を表す画期的な薬剤は瞬く間に世界に広がり、シアリスレビトラステンドラなど新たなED治療薬やそのジェネリック医薬品など多くの薬剤が今日まで発売されています。

今ではED治療において薬剤を服用する方法が広く認知され、一般的になってきました。
またED治療を専門とする医療機関なども多くあり、器質性・心因性さまざまな原因を考慮した治療をおこなうことができるようになってきています。

ED治療に夫婦や恋人同士で取り組むことで改善の道が近くなることからも、EDに対する理解は徐々に広がっているといえるでしょう。

参考文献

性的不能の文化史

ED治療薬

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